2万円の請求に「10万円の費用」をかけても相続放棄を選ぶ理由。急増する突然の相続放棄と解決事例
◆ ご相談者様の状況
● 年代・お立場:70代・男性
● 被相続人:お姉様
● ご相続のきっかけ:市役所からの突然の返還請求通知
◆ ご相談内容
ある日突然、ご相談者様のもとに、亡くなったお姉様が住んでいた市町村から一通の郵便物が届きました。
内容は、「お姉様に支給していた生活保護費の返還(約2万1000円)を求める」というもの。
さらにその通知には、本来の第一順位の相続人である「お姉様の長女(ご相談者様から見た姪)は、すでに相続放棄を完了している」という事実が記載されていました。
実の子どもが相続放棄をした結果、ご兄弟(ご相談者様)に相続権が回ってきてしまい、市役所から請求が届いたのです。
◆ 当事務所のサポート内容 ~3つの選択肢~
この通知を受け取ったご相談者様には、大きく分けて以下の「3つの選択肢」がありました。
選択肢1. 市役所の請求通り「2万1000円」を支払う
一番手っ取り早く波風が立たないように見えます。
しかし、相続放棄を検討している場合、請求された金額を安易に支払うことには注意が必要です。
特に相続財産から債務を支払った場合などには、相続を承認したと判断され、相続放棄が認められなくなる可能性があります。
姪が、わざわざ放棄した裏に、多額の借金が隠されていた場合、すべてご相談者様が背負うことになります。
選択肢2. 「実費3,000円程度」で、ご自身で相続放棄の手続きをする
費用は安く済みますが、今回すでにお姉様のご逝去から3ヶ月以上が経過していました。
ご逝去から3ヶ月経過後の相続放棄は裁判所の審査が非常に厳しく、書類に不備があれば「受理されない(却下される)」リスクが高くなります。
相続放棄は一度却下されると、原則として二度とやり直しがききません。
※相続放棄の期限は、原則としてご自身が相続人になったことを知った時から3か月です。
選択肢3. 「約10万円」の費用をかけて、専門家(当事務所)に依頼する
費用はかかりますが、複雑な「3ヶ月経過後」の事情を法的に正しく裁判所へ説明し、放棄を成立させることができます。
ご自身でも手続きすることは可能ですが、必要書類の収集や相続関係の確認、相続放棄の期限に関する説明などに注意が必要です。
事情によっては申述が認められない可能性もあるため、慎重な対応が求められます。
目先の出費だけを見れば、1や2のほうが安く済みます。
しかし今回、ご相談者様は、「もし自力でやって裁判所に受理されず、他に隠れた負債が出てきたら取り返しがつかない。費用がかかっても、今のうちに確実に縁を切るべきだ」と、3の「プロに任せる」という決断を下されました。
【解決までの結果】
「市役所からの通知で自分が相続人だと知った日」を起算点として、当事務所で事情を詳細に記載した申述書を作成し、家庭裁判所へ提出しました。
無事に一回で相続放棄が受理され、手続きは完了。
費用はかかりましたが、「これで今後、どこからどんな督促状が来ても『私は放棄しました』と堂々と言える」と、将来の「見えない借金への恐怖」を完全に断ち切ることができました。
【担当司法書士からのコメント:なぜ今、相続放棄が急増しているのか?】
今回の事例のように、ご兄弟や甥・姪の立場で「突然、相続放棄をしなければならなくなるケース」は、現在日本全国で急激に増加しています。
2025年、全国の家庭裁判所が受け付けた「相続放棄」の件数は32万4000件となり、過去最多を更新しました。これは10年前の2015年(18万9000件)と比べて、実に7割も増えた数字です。
この背景には、現代社会ならではの深刻な事情があります。
• 親族関係の希薄化(疎遠): 生前の生活状況や借金の有無をお互いに全く知らない。
• 「負」のバケツリレー: 子ども世代が「親の借金や不要な空き家」を相続放棄するため、結果として疎遠だった兄弟姉妹や甥・姪へと、次々に借金のバトンが回ってくる。
「ずっと会っていない兄弟だから自分には関係ない」と思っていても、ある日突然、役所や債権者からの督促状が届くことで、否応なしに相続問題に巻き込まれる時代です。
相続放棄のタイムリミットは、原則として「自分が相続人になったこと(借金があること)を知った日から3ヶ月以内」という非常に厳しいルールがあります。
もし突然、見知らぬ役所や債権者から通知が届いた場合は、ご自身で判断して安易に支払いをしたり、自力で無理な手続きを進める前に、一刻も早く当事務所へご相談ください。
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